唐突に思い出した話

ある日仕事の終わりが深夜になって車をぶっとばしておりました。誰も走ってねー。スピードキングだかハイウェイスターだかを志す男の子としては安全第一で行きたい。
正直言って山の中なので街灯もあったりなかったり。ちょうど真っ暗な区間に差し掛かったところで、車のヘッドライトだけが照らす空間の中に奇妙な物が見える。ぼくは眼鏡を掛けても免許を取れる最低限の視力しかない、だからよく見えない、だが異様だ。 異 様 だ 。
それは跳ねているように見える。道路の真ん中で何かが跳ねているように見える。
何。
最初に思い付いたのは……魚だ。陸にあげられた魚がビッチビチと跳ねているあの様だと思った。だがちょっと待って欲しい。ここは正直言って山の中なので道路の真ん中で魚が跳ねていたらそれはそれで大事件であるので魚ではないと思った。この世ならざる物の気配すらする。
近付いていく。こえー! マジこえー! 何アレ。全長30〜40cmほどの何かが、断続的に、地面から20cmは飛び跳ねております。ビッチンビッチン跳ねております。
10mくらいまで近付いてようやく何なのかわかった。